COLUMN 採用お役立ちコラム

2026.01.15

【派遣会社経営者必読】「スキマバイト」の侵食にどう抗うか。データで読み解く2026年の生存戦略

スキマバイト市場の急拡大により、領域を「侵食」される人材派遣業界。本コラムでは最新データを基に、派遣会社が価格競争に巻き込まれず、クライアントと求職者の双方から選ばれるための「2026年の生存戦略」と差別化ポイントを解説します。

「最近、スタッフの集まりが悪い」「登録してもすぐに稼働しなくなる」
派遣会社の経営者様、採用担当者様から、このような声を耳にする機会が急激に増えました。

その背景にあるのは、間違いなく「スキマバイト(スポットワーク)市場の爆発的な拡大」です。
これまで派遣業界が担っていた領域が、手軽なアプリによって「侵食」されている――。この脅威は、一過性のブームではなく、労働市場の構造的な変化です。

本コラムでは、最新の市場データを基に、スキマバイトと人材派遣の現在地を整理し、「侵食される側」から「選ばれる側」へ転換するための生存戦略を考察します。

1. 「侵食」の正体:サンドイッチ状態になる派遣業界
まず、直視すべき現実があります。
スキマバイトアプリの登録者数は累計2,500万人を超え、市場規模は拡大の一途を辿っています。かつて「日雇い派遣」が担っていた短期・単発の軽作業領域は、今やその多くがスキマバイトアプリへと流出しました。

現在の派遣業界は、以下のような「サンドイッチ状態」に陥っています。

・高スキル層: 人材紹介やダイレクトリクルーティングへ流出
・低スキル・未経験層: スキマバイトアプリへ流出
・中間層(派遣): 上下の層に侵食され、パイが縮小

特に「誰でもできる単純作業」を「安く」提供するという従来のビジネスモデルでは、DX化されたプラットフォーム(スキマバイト)の「早さ・手軽さ」に勝つことは極めて困難です。この領域で戦い続けることは、まさに自社の利益を侵食させることに他なりません。

2. 「安さ・手軽さ」の代償:クライアントが抱える見えないリスク
では、派遣会社に勝ち目はないのでしょうか? 決してそうではありません。
スキマバイトの拡大に伴い、利用企業(クライアント)側では「手軽さの代償」とも言える課題が浮き彫りになっています。

・現場負担の増大: 毎回違う人が来るため、教育コストがかかり続ける。
・労務リスクの発生: 直接雇用となるため、労災対応や給与計算などの事務負担が企業側にのしかかる。
・質のバラつき: 「無断欠勤」や「トラブル」のリスク。

ここに派遣会社の勝機があります。
スキマバイトのマッチングはあくまで「場所と時間の提供」ですが、派遣会社が提供するのは「安心と責任」です。

「雇用責任は派遣元(自社)にある」「スタッフの教育・管理は派遣元が行う」。
これまで当たり前だったこの機能こそが、コンプライアンスを重視する企業にとって、スキマバイトにはない「高付加価値な防波堤」となるのです。

3. スタッフに選ばれるための「逆張り」戦略
一方で、働き手(求職者)に対してはどうアプローチすべきでしょうか。
「好きな時に好きなだけ」というスキマバイトの利便性は強力ですが、すべての労働者がそれだけで生活できるわけではありません。

求職者の多くは、アプリと求人サイトを行き来する「バタフライ・サーキット」と呼ばれる行動をとっています。彼らは「手軽さ」を求める一方で、「将来への不安」や「生活の安定」も求めています。

だからこそ、派遣会社はスキマバイトと同じ土俵(時給や手軽さ)で戦ってはいけません。

・キャリア形成の支援: スキルアップ研修やキャリアパスの提示(無期雇用など)
・生活基盤の提供: 社宅制度や前払い制度、社会保険の完備
・福利厚生: 「推し活」支援や休みを取りやすい制度など

これら「生活と将来を支える機能」を強化し、訴求すること。
「その日暮らし」ではなく「安定した生活」を提案できる点こそが、スキマバイトに対する最大の差別化要因となります。

結論:侵食を食い止め、共存する未来へ
スキマバイトによる「侵食」は脅威ですが、同時に「派遣会社が提供すべき本来の価値」を再定義するきっかけでもあります。

単なる「人手不足の穴埋め」ならスキマバイトで十分です。
しかし、「企業の事業成長を支えるコア人材の提供」や「求職者の人生設計に寄り添うパートナー」としての役割は、デジタルなプラットフォームには代替できません。

2026年、選ばれる派遣会社になるためには、以下の2点が不可欠です。

1. クライアントに対し、「労務管理・教育コストの削減」という付加価値を正しく伝える営業力
2. 求職者に対し、自社の魅力(安定・キャリア・安心)を正しく伝える「Web発信力(採用ブランディング)」

「侵食」を嘆くのではなく、自社の強みを磨き直す好機と捉え、戦略的な転換を図っていきましょう。