COLUMN 採用お役立ちコラム

皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2020年11月分の一般職業紹介状況が2020年12月25日に、毎月勤労統計調査が2021年1月7日に公表されました。こちらに基づいて2020年11月分の採用市況感レポートをお届けします。

■有効求人倍率及び新規有効求人数の動き（2020年12月25日データ）

（厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より）

コロナの影響を受けた有効求人倍率は、11月は1.06と引き続き0.2ポイントの回復となりました。11月にはコロナ第3波の感染再拡大がはじまっていますが、この段階ではまだ大きな影響は見えていません。12月以降さらに第3波の影響が出てくると思われますので、全体のトレンドとしては横ばいから微増で推移しそうです。

新規有効求人数推移（季節調整値）は前月比＋65,491件と、4月緊急事態宣言以降の数値としては最高値となっています。正規雇用、パートともに上昇しており、人材採用の難度は全体的に上がっている傾向です。

■毎月勤労統計調査速報2020年11月（2021年1月7日データ）

（厚生労働省 毎月勤労統計調査令和2年11月速報値より）

2020年11月毎月勤労統計調査速報で、入職の大きな伸びがあったのは先月に引き続き「建設業」「不動産・物品賃貸業」「飲食・サービス業」「教育、学習支援業」「医療、福祉」でした。建設業と医療福祉に関しては業種別の有効求人倍率も高く、すでに採用難となっています。

また、「不動産・物品賃貸業」と「教育、学習支援業」ではフルタイム雇用の率が上がっています。不動産関連では、都市部から近郊への住み替え需要やオフィスの借り換えニーズがあり、営業職を中心に採用強化が始まっています。「教育、学習支援業」ではリモート授業対応のニーズが多く、在宅勤務も可能なことから募集・応募ともに活発となっています。

また、「製造業」ではパートタイムの募集が増え、医療機器や日用品、加工食品などの製造業も活発に動いています。

■トピックス　休廃業の動向

雇用統計データでは見て取れない部分にも変化が出ています。
今回は、コロナの影響を受けた休廃業の状況から人材の流動について考察します。

（図：帝国データバンク「特別企画：全国企業「休廃業・解散」動向調査（2020年 1-11月）」より）

新型コロナウイルスの影響で大きく業界動向が変化した2020年。報道などでも再三再四触れられていますが、観光業や外食産業に関わる業種を中心に経済的な影響が大きくなっています。倒産などを示す休廃業のデータでもこの傾向がみられます。

図表の右側、業種細分類で見た場合の休廃業件数を見ていきます。
観光に関連する業種の倒産では、「一般貸切旅客自動車運送業」（観光バス会社）「一般旅行業」（旅行代理店）が挙げられ、外食産業関連では「食肉小売業」、またテナント撤退に伴って「ビルメンテナンス業」や「普通倉庫業」なども影響を受けています。

これらのデータから、バスドライバーや添乗員、旅行コーディネーター、あるいは食肉小売店経験者といった人材が業種をまたいで転職する機会が増えていると考えることができます。
コロナ禍のように業種によって差の大きい経済変動下では、不振業界から人手不足業界への人材の移動が起こりやすい状況となります。求人の際にはこういった業務経験者を採用ターゲットとして検討することも必要でしょう。

■まとめ

執筆時点での2021年1月7日には首都圏の1都3県に緊急事態宣言が再度発出されるなど、いわゆるコロナ第3波の影響も懸念される状況です。
統計データ上は11月時点で求人ニーズが全体的に上がってきていますが、コロナ第3波の状況次第ではより業種ごとの人材ニーズには差異が生まれてくると思われます。
建設業や医療福祉などを中心に、製造業でも採用の活発化が進んでいます。また、リモートワークでの営業活動も定着しつつあり、一部では営業人材の獲得競争が始まっている感もあります。
採用難度が上がっている業種・職種では、異業種経験者の獲得を狙ったマーケティング施策や、遠隔地からの応募者も視野に入れた採用設計など、新たな取り組みが必要となっています。

※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。