2021.04.12
採用市況感レポート2021年2月(厚生労働省調査データから)
皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2021年2月分の一般職業紹介状況が2021年3月30日に、毎月勤労統計調査(速報)が2021年4月6日に公表されました。こちらに基づいて2021年2月分の採用市況感レポートをお届けします。
■有効求人倍率及び新規有効求人数の動き(2021年3月30日データ)
(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)
2月の有効求人倍率は1.09と前月から0.1ポイントの下降となりました。緊急事態宣言は3月21日に解除されましたが、統計期間の2月は感染のピークと重なっており、求人も横ばいに近い動きとなりました。
新規有効求人数推移(季節調整値)は前月比-20,678件と、1月に続き減少しています。一方でパート求人は前月比で増加しており、全体的には横ばいの傾向です。3月以降は転職層向けの求人が増加すると予想されます。
■毎月勤労統計調査速報2021年2月(2021年4月6日データ)
(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)
2021年2月毎月勤労統計調査速報で、
入職の大きな伸びがあったのは「建設業」「不動産・物品賃貸業」「学術研究等」「教育、学習支援業」「医療、福祉」でした。前月とトレンドは大きく変わっていません。
「教育、学習支援業」「医療、福祉」はパートタイムの就業も増えており、長期的に人材を補充している状況です。また、注目ポイントとしては離職率の低下があげられます。「飲食サービス業等」を除く業種では離職率が低下傾向にあり、コロナの影響を受けて人員の異動が停滞している様子が見て取れます。
■トピックス
今回は雇用の数値の中でも毛色の変わった情報に触れたいと思います。
アメリカ合衆国労働省労働統計局(BLS)が毎月、雇用統計を公表しています。この通称「米国雇用統計」と言われる統計発表は、主に株価や為替の動きに大きな影響を与えることが知られているため、経済指標として用いられています。この統計の中でも特に「非農業部門雇用者数」と「失業率」は世界的な経済の先行きを左右する指標とされています。今回はこの米国雇用統計の数値で、世界的な経済の動向を見ていきましょう。
(アメリカ合衆国労働省労働統計局(BLS)雇用統計(CES)より)
こちらのグラフは新型コロナウイルス感染症が拡大する直前、2019年11月からの両指標をグラフにしたものです。コロナ第一波で2053万人の雇用減という極めて大きな影響を受け失業率は14.7%まで拡大しましたが、その後第二波、第三波を受けても雇用状況は改善を見せています。
特に米国では早期にワクチン接種がスタートしており、3月の段階では約19%の接種が完了している状況です。日本でも今後、4月から高齢者向けのワクチン接種開始、7月以降一般向けの接種開始の見込みとなっています。日本国内でも第四波が間近と言われていますが、ワクチン接種の進捗とともに経済への影響は抑えられていくものと思われます。
依然として財政出動に頼った経済回復が続く見込みですが、雇用の回復は次第に勢いを増していくと考えられます。
■まとめ
統計から見る採用市況感では、採用市場は横ばいからわずかに上向きという状況ですが、4月に入って求人広告の出稿件数増加やWEB広告の出稿単価の上昇などがすでに始まっています。業種によって景気回復の動きが二極化していることもあり、人手不足業界ではすでに人材獲得難の傾向が見えます。
この4~5月は、コロナ後の採用を戦略的に組み立てなおす最後のタイミングです。ぜひ募集~惹きつけ~入社までの採用の流れを再確認し、採用計画を見直していただきたいと思います。
※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。