2021.04.13
アナリストレポート#3「世界経済回復の見込み 今から人材確保の準備を」
皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームの島です。
2021年3月21日に、長く続いていたコロナ第三波を受けた1都3県の緊急事態宣言が解除されました。一方で、大阪では「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、予断は許さない状況が続いています。足踏みしつつも、大きく落ち込んだ経済は徐々に回復に向かいつつあります。
社員採用の今後のプランを描くにあたって、押さえるべき背景として、今回は世界経済と日本経済、企業の雇用動向の確認を各種資料から見ていきます。
■世界経済は2021年半ばから段階的に回復へ
最初に世界経済の見通しについて見ていきます。こちらの図表は三菱総合研究所の発表資料から引用したものです。世界的なコロナの影響から2021年4～6月には世界経済は回復局面に入り、以後は流行による一時的な減速を見込みながらも22年半ば以降はコロナ前に近い状況に戻るとみられています。中国は既に強力な財政出動によって経済が回復しつつあり、米国などワクチンの展開が早い地域では2021年半ばから本格的な回復が見込まれます。
株式会社三菱総合研究所、2021年2月16日「ウィズコロナ下での世界・日本経済の展望（2020～2022年度の内外経済見通し）」より
■直近の国内景気動向の見通し
国内の直近の景気動向も確認します。コロナ第一波で大きく下落した景気動向指数ですが、第二波・第三波では第一波ほどの下落とはなっていません。コロナの影響を受ける業種（宿泊、観光、飲食等）では大きな影響が続いていますが、経済全体では段階的に回復が進んでいます。緊急事態宣言の解除を受けて、今後も爆発的感染が避けられれば、財政出動を背景に回復が続くとみられます。
内閣府経済社会総合研究所、2021年3月8日「景気動向指数(令和3(2021)年1月分速報)結果の概要」より
■中途採用にシフトする企業
経済回復が見えてくると、企業も雇用再開に向けて段階的に踏み込んでいくことが予想されます。多くの企業がどういう計画を見込んでいるのかを数値で見てみましょう。
こちらの図は帝国データバンクの雇用に関する企業の意識調査から引用しています。
多くの企業が即戦力の中途採用を中心に採用を計画しています。また、同調査では契約社員・パート社員の採用を中心に進めるという結果も出ています。
株式会社帝国データバンク、2021年3月15日「2021年度の雇用動向に関する企業の意識調査」より
■アフターコロナに向けて採用を再チェック！
コロナ後の業績回復に合わせて人材を採用する企業が増えてくると予想される中、採用のリスタートはどこから手を付ければいいのでしょうか。企業内の採用環境も大きく変わっているかもしれませんので、チェックポイントをもう一度おさらいしましょう。次のチェックリストで4つ以上チェックが入る企業は急ぎ採用計画の作成が必要です。
■採用計画の緊急度チェック 4チェック以上は要注意！
◎人員計画の確認
□コロナで減った売り上げが回復しつつある／回復の見込み
□採用にかけられる予算が決まっていない
□採用したい人物像が明確になっていない
◎採用媒体の再チェック
□3か月以上有料募集媒体・広告を使っていない
□募集媒体以外の紹介やスカウトなどを使ったことがない
□求人票を職種や地域ごとに分けていない（『総合職』など）
◎オンライン採用への対応
□WEB面接を導入していない
□土日夜間の応募に対応できていない
□面接前にWEBで見せる資料・コンテンツが少ない
採用計画の立案には社内だけでなく外部の情報収集も必要です。コロナ禍で大きく変化した採用市場の情報収集と社内の採用体制を整えていきましょう。
■4月以降中途採用が活発化 戦略的な採用計画を！
執筆時の4月初旬の段階で、既に業種によっては社員採用が活発化している状況です。4月後半以降は世界的な経済の回復が見えてくることもあり、製造業や物流といった業種での活発な採用が予想されます。多くの企業が中途採用からスタートする予想ですが、求職者はコロナ後の安定やリモートワークを重視する傾向が出ており、いずれ正社員採用での人材の取り合いや、副業人材の活用などが動き始めることは必至です。早めの人材確保と戦略的な採用プロセスの構築を進める必要があります。
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