COLUMN 採用お役立ちコラム

2021.05.14

採用市況感レポート2021年3月(厚生労働省調査データから)

皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2021年2月分の一般職業紹介状況が2021年4月30日に、毎月勤労統計調査(速報)が2021年5月7日に公表されました。こちらに基づいて2021年3月分の採用市況感レポートをお届けします。

■有効求人倍率及び新規有効求人数の動き(2021年4月30日データ)

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

3月の有効求人倍率は1.10と前月から0.1ポイントの上昇となりました。コロナ第三波の緊急事態宣言は3月21日付で解除されていますが、1月から3月の宣言期間中はほぼ横ばいで推移しました。

新規有効求人数推移(季節調整値)

新規有効求人数推移(季節調整値)は前月比+57,613件と、前月より大幅に増加しています。パート求人も前月比で増加しており、全体的に上昇傾向です。4月は転職市場が一旦落ち着くため横ばいまたは減少すると予想されます。

■毎月勤労統計調査速報2021年3月(2021年5月7日データ)

常用雇用及び労働異動率

(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)

2021年3月毎月勤労統計調査速報で、入職の大きな伸びがあったのは「建設業」「教育、学習支援業」「医療、福祉」でした。一方、先月まで伸びが続いていた「学術研究等」ではパートタイムの就業が大きく減っており、年度末での契約終了などの影響が見て取れます。
「教育、学習支援業」「医療、福祉」は引き続き人材を補充している状況です。教育関連ではMEGAスクールなどリモート学習の環境整備が進み、塾・家庭教師などもリモートでの求人が目立っています。
緊急事態宣言の影響もあり、生活関連サービス等では引き続き就業人数が減少しています。

■トピックス

今回は賃金動向について、記事・資料を2件引用します。
まずはパート・アルバイトの賃金の動向です。各種統計をグラフ化して見せているニュースサイト「ガベージニュース」、こちらのサイトはYahoo!ニュースにも転載記事が多数ありご存じの方もいらっしゃるかと思います。今回見たいのは、「アルバイトの時給動向をグラフ化してみる(最新)」(2021/04/21)です。
http://www.garbagenews.net/archives/2228492.html
こちらでグラフ化されているパート・アルバイト募集時平均時給です。

パート・アルバイト募集時平均時給

長期的に最低賃金の引き上げもあり2013年ごろから上昇してきた時給ですが、2020年は動きが鈍化しています。コロナ禍で飲食店などの募集が減った影響もありますが、時給が上げ止まりに来ているとの観測もあります。求人掲載の際は、地域の競合する求人の募集条件などを確認する必要がありそうです。

2件目の資料は、日本政策公庫が公表している調査資料から「雇用動向に関するアンケート調査結果(2020年10~12月期)」です。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/seikatsu21_0315a.pdf
こちらに掲載されている、正社員の賃金水準の変動を見てみます。

正社員の賃金水準

正社員の賃金が上昇したと答えた率が2015年以降では最も低い、となっており、正社員の給与もコロナ禍を受けて頭打ちのように見えます。特に飲食店関連やレジャー系の業種では給与低下の割合が増えています。
しかし、統計に出てこない部分では、建設業や運送業では賃金は上昇傾向にあり、また職種ではDX関連の技術者などはまだまだ上昇を続けています。
業種職種によって賃金待遇のトレンドは大きく差が出ている状況ですので、募集条件は周辺情報との比較が必要です。

■まとめ

4月23日にコロナ第四波の緊急事態宣言が発出されました。わずか1か月での再発出に、皆様もコロナ禍はまだまだ続くと感じておられるのではないでしょうか。しかし、飲食や観光といったコロナ禍で直撃を受ける業種がある一方、BPOや半導体製造業など募集が増える業種もあり、業種によって人材募集は極端な傾向がさらに強まっています。
5月の連休にかけて正社員を中心に求人募集が落ち着く時期ですが、既に新卒の早期離職などのニュースも流れており、若手採用は早めに手を付けた方が良さそうです。
採用ターゲットが競合する業種職種の求人動向を確認し、先手を打って採用を進めてまいりましょう。

※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。