COLUMN 採用お役立ちコラム

2021.06.24

採用市況感レポート2021年4月(厚生労働省調査データから)

皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2021年4月分の一般職業紹介状況が2021年5月25日に、毎月勤労統計調査(速報)が2021年6月8日に公表されました。こちらに基づいて2021年4月分の採用市況感レポートをお届けします。

■有効求人倍率及び新規有効求人数の動き(2021年5月25日データ)

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

4月の有効求人倍率は1.09と前月から0.1ポイントの下降となりました。コロナ緊急事態宣言は3月21日付で解除されましたが、4月25日には約一か月で再度の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が発出され、結果として倍率は横ばいやや微減となっています。

新規有効求人数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

新規有効求人数推移(季節調整値)は前月比-33,387件と、前月より大きく減少しています。4月は採用市場が一旦落ち着くため減少となりましたが、前年度の下降と比べ変化は緩やかでした。

新規求職申込件数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

また、今月から求職者の動きもグラフ化しています。
新規求職申込件数(季節調整値)は「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」の第5表からデータをとっており、ハローワークに求職登録=新しく仕事を探し始めた求職者の数字を示しています。2021年4月の求職者は前月比で18,902名増加しており、この伸びはコロナの影響を大きく受けた1回目の緊急事態宣言直後の2020年6月(+69,947)に次ぐ数値となっています。
有効求人倍率自体は大きな変化となっていませんが、繰り返される緊急事態宣言を受けて、転職市場に多くの求職者が参加している様子がわかります。

■毎月勤労統計調査速報2021年4月(2021年6月8日データ)

常用雇用及び労働異動率

(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)

2021年4月毎月勤労統計調査速報で、入職の大きな伸びがあったのは「飲食サービス業」「生活関連サービス等」「教育、学習支援業」「医療、福祉」でした。一方、パートタイムを中心に減少がみられたのは「電気・ガス業」「複合サービス事業」でした。
「教育、学習支援業」「医療、福祉」は引き続き人材を補充している状況です。教育関連の需要は引き続き堅調で、リモート学習を中心としたEdTech需要によるものと思われます。
飲食サービス業は3月21日の緊急事態宣言解除により需要が大きく戻りましたが、その後4月25日には再び緊急事態宣言が発出されており、5月6月の飲食業の苦境は報道などで皆さんご存じの通りです。飲食業などからの転職は、この夏~秋にかけて拡大し、ワクチン接種がある程度進むまではとどまることはないと見られます。

■トピックス

今回は企業のコロナの影響についての資料を帝国データバンクの調査から引用します。

新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2021年5月)

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210602.html

こちらの調査は帝国データバンク社が2020年3月から毎月企業アンケートを行い公表しているもので、企業の業績見込みについての景況感がみられる資料です。

新型コロナウイルス感染症による業績への影響

2021年5月の調査では、コロナ禍によって業績に「既にマイナスの影響がある」「今後マイナスの影響がある」と答えた企業は全体の75.9%に上りました。まだまだ多くの企業で業績見込みに不透明感が強いことがわかりますが、同時に全体的に回復期に向かっていることも感じられます。

業績に「マイナス」・「プラス」の影響がある割合~上位10業種~

同資料にはマイナス・プラスの影響を受ける業種のリストもあります。
この中で注目なのは、「旅館・ホテル」「飲食店」といった良く報道で目にする業種のほかに、「広告関連」「繊維卸、小売」「出版印刷、紙製品」といった業種が登場することです。「広告関連」「出版印刷、紙製品」は、飲食店の宣伝広告と関係性が深いため業績に影響を受けていると見られます。また、「繊維卸、小売」は長く続く外出消費需要の低迷を受けていると考えられます。
こういった業種からは、他の業界に転職する人材が増えており、業界を超えた異業種採用がトレンドとなっています。

■まとめ

業種業界によってコロナ禍の影響が二極化する中、不景気業界から人材不足業界へ人材の流動が始まっています。6月末まで延長されている雇用調整助成金ですが、その後の延長がいつまで続くのか不透明です。また、ワクチン接種の一巡に年明けまでかかるという予測もあり、秋まで大きな人材流動の流れが続くと見られます。
地域内の優秀な異業種人材を獲得するチャンスとなりますので、人手不足業界ではチャンスを生かす施策を打っていきましょう。

※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。