COLUMN 採用お役立ちコラム

2021.07.13

採用市況感レポート2021年5月(厚生労働省調査データから)

皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2021年5月分の一般職業紹介状況が2021年6月29日に、毎月勤労統計調査(速報)が2021年7月6日に公表されました。こちらに基づいて2021年5月分の採用市況感レポートをお届けします。

■有効求人倍率及び新規有効求人数の動き(2021年6月29日データ)

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

5月の有効求人倍率は1.09と前月から±0.0ポイントの横ばいとなりました。
4月25日にはコロナ感染の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が発出されており、多くの企業が新規求人を見送った結果と見られます。5月の連休を挟んで全体的な動きは低調でした。

新規有効求人数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

新規求人数推移(季節調整値)は前月比+9,988件と、前月より若干の伸びを見せました。5月は例年採用市場に動きがない時期ですが、求人件数は増加傾向にあり、製造業を中心とした人材需要が戻りつつある様子が伺えます。

新規求職申込件数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

新規求職申込件数(季節調整値)は、ハローワークに求職登録=新しく仕事を探し始めた求職者の数字を示しています。2021年5月の求職者は前月比で-47,652名と大きく減少しています。4月に大きく増加した求職者が一旦落ち着いた様子です。
全体の有効求人倍率は横ばいで変化がありませんでしたが、新規求人数は増加、新規求職者は減少と、人材需要が上回りつつあるトレンドとなりました。

■毎月勤労統計調査速報2021年4月(2021年7月6日データ)

常用雇用及び労働異動率

(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)

2021年5月毎月勤労統計調査速報で、入職の大きな伸びがあったのは「不動産・物品賃貸業」「飲食サービス業」「教育、学習支援業」「医療、福祉」でした。離職に関しては「鉱業、採石業等」で若干の動きがみられましたが、全体として離職が少ない状況でした。
飲食サービス業は緊急事態宣言解除後の需要拡大を見込んだ採用と思われますが、その後の感染再拡大と飲食業への影響を見ると、一時的なものにとどまると思われます。
「教育、学習支援業」の採用拡大は長く続いており、ICT教育関連の人材募集が目立っています。

■トピックス

今回は企業の雇用判断について、独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料から引用します。

新型コロナウイルス感染症関連情報: 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響
国内統計:雇用人員判断D.I.

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c09.html

こちらの資料は同機構が2021年7月2日に発表したもので、四半期ごとに公表される日銀短観のデータに基づいて、企業の雇用人員判断の景況感についてまとめたものです。

雇用人員判断D.I.(四半期)

(図は独立行政法人労働政策研究・研修機構より)

上記の図を見ると、コロナ禍以降どの業種の雇用に影響が出たのか非常に分かりやすくなっています。2020年第2四半期に一斉に人余り傾向となりましたが、その後多くの業種で2021年第1四半期には人手不足気味となっています。その中で、コロナ以前は最も人手不足感が強かった「宿泊・飲食サービス」業は人余り傾向が続いています。
製造業では半導体を中心に人手不足が深刻化しつつあり、他業種でも人材需要が高まる傾向となっています。飲食宿泊については、需要回復がワクチン接種一巡後(12月以降)と見られますので、コロナ被影響業種から人手不足感が強い業種への人材移転の流れは21年下期にかけて続くものと見られます。

■まとめ

当記事執筆時の7月7日には、政府方針として4度目の緊急事態発出がニュースとなっています。オリンピック開催期間と緊急事態宣言が重なることとなり、国内の感染収束にはまだ時間がかかりそうです。
しかし、記事中でも触れましたが、世界的な経済回復傾向を受けて製造業などの需要は大きく回復しており、2021年下期は人材の取り合いに近い状況へ急激に変化しそうです。
本格的な人材需要の増加に備えて、採用施策の強化を進めていきましょう。

※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。