COLUMN 採用お役立ちコラム

2021.09.02

アナリストレポート#4 すでに人手不足の気配 自動車・半導体の採用スタート

皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームの島です。

ここ数ヶ月間の有効求人倍率を見ていくとほぼ横ばいの状況が続いているので、緊急事態宣言などの影響によって採用市場は停滞しているかのように見られます。
しかし実は2021年半ばから、海外では経済状況の段階的な回復が進んでおり、日本においてもワクチン接種が進むなどの背景もあり、コロナ明けを見越した企業の採用動向は大きく動き始めています。今月は企業の人手不足感について、資料やニュースから採用市場を確認していきましょう。

■人手不足感が急速に高まる

まずは新型コロナウイルス感染症が雇用や就業、失業にどれだけの影響を与えているかを確認しながら、これまでの人手の状況を見ていきましょう。こちらのグラフは独立行政法人労働政策研究・研修機構が日銀短観のデータに基づいてまとめた、企業の雇用判断の景況感を表した「雇用人員判断D.I.」を表したものです。こちらを見ると宿泊業や飲食サービス業の人手は過剰であるように見られますが、すべての産業を見ると人手不足にあるところが多いことがわかります。中でも製造業は人手が不足していることが数字からも読み取れます。

雇用人員判断D.I.(四半期)

新型コロナウィルス感染症関連情報:新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響
国内統計:]雇用人員判断D.I.
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c09.html
(出典元:独立行政法人労働政策研究・研修機構)

<ポイント>
◎宿泊業や飲食サービス業は人手が過剰な状態
◎それ以外の業種、特に製造業はコロナ前に近い人手不足感が見られる

■自動車産業における人手不足のひっ迫感は一層進む

国内の製造業における代表格である自動車産業は、雇用人員判断D.I.を見るとコロナ第一波によって2020年初頭に人材過剰感が高まったことが見られます。その後の経過を見ると、急速に復調していることがデータ面からも見て取られ、2021年6月の時点では逆に人手不足の状況にあることがわかります。
世界の自動車の生産台数はコロナ前の8割以上までに回復していますが、日本国内ではそれ以上に復調しています。業界の好不況を見る際に有効な資料として、企業倒産件数のデータがあります。2021年6月に発表された、自動車製造業の倒産件数の推移をグラフで見ていきましょう。

自動車・同付属品製造業の倒産 年次推移

「自動車・同附属品製造業の倒産動向」調査(2021年1~5月) 東京商工リサーチ調べ
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210629_02.html

これを見ると2021年1月から5月にかけて自動車製造業界の倒産件数は5件と、過去10年でもっとも少ないペースとなっています。つまり自動車業界はコロナ禍の反動もあって活況を呈していて、仕事は十分にあるのですが人手が足りていないという状況になりつつあります。また、2021年前半における報道でも、人手不足を裏付けるニュースが取り上げられています。

トヨタグループ、三菱重工などの人員数百人受け入れ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD231VP0T20C21A1000000/

自動車・半導体多い長野、好調でも人手不足
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC294X90Z20C21A6000000/

<ポイント>
◎自動車産業の倒産件数は過去10年で最低

■半導体製造は国内ニーズがより鮮明に

自動車産業同様に、半導体製造業も好況を呈しています。その背景としてアメリカの対中政策、コロナ禍によるテレワーク需要の拡大、自動車のEV化促進などが要因として挙げられており、結果的に世界中で半導体の生産が追いついていない状況にあります。

半導体、世界でなぜ不足? 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK242WS0U1A120C2000000/

2021年1月25日付の日本経済新聞朝刊1面によると、アメリカや日本、ドイツなどの自動車産業国が台湾当局に半導体の増産を要請したとの報道がありました。それによると、2020年秋以降から世界的に半導体不足が続いているとのこと。テレワークの拡大によってパソコンなどに使用する電源管理用の半導体不足が発端となり、加えて世界最大規模である中国の自動車市場が回復したことで、自動車の運転制御を司るマイコンなどが不足しました。

実はコロナ禍によって自動車メーカーがニーズの縮小を予測し、2020年春に半導体の発注を大きく減らしました。ところが予測を上回るペースで市場が回復したことにより、ただでさえ生産に時間がかかる半導体の製造が追いつかなくなる状況に。しかし、アメリカ政府による中国企業への制裁によって半導体の調達に制限がかかり、その代わりとして台湾当局へ増産を依頼したのです。こうした背景も、半導体製造業の好況ぶりを表している一つの要因となっています。

日本国内には半導体メーカーのほか、半導体製造装置や素材メーカーなども多く、自動車産業と同じように人手不足が目立っています。半導体製造の主力となっている台湾メーカーが日本国内に拠点を展開するという情報も出てきており、ますます日本における人材ニーズは高まっていくだろうと見られています。

<ポイント>
米中対立・コロナ需要で性愛的な半導体需要 製造技術の要は日本

■すそ野の広い産業から加速する人手不足

自動車産業や半導体製造業などはもともと雇用する人数の多い業界ですが、さらに人手不足が進行すると2021年後半の早いタイミングで人材の取り合いが一層激しくなると予想されます。2021年9月から10月の間には、自動車産業や半導体製造業以外の産業も加わることで、人手不足感はさらに加速すると予測されます。そもそも9月から10月の期間は例年、人材の流動が活発になる時期でもあります。さしあたってはシーズンを迎える前に、早めの採用施策をとることで人材の確保を急ぎましょう。

■採用シーズンを逃さないタイムリーな施策を

採用市場は2021年下期から、求人が競合する状況になることが見込まれています。採用が難しくなる事態に陥る前に、今から以下のチェック項目に沿った準備を進めていきましょう。
□広告施策の予算投下
□オンライン採用に対応するWEBコンテンツの提供
□応募受付→面接までのリードタイム短縮策
□面接見極めと惹きつけの強化『構造化面接』など
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調査協力:株式会社全国求人リサーチ(https://kyujin-research.jp/