COLUMN 採用お役立ちコラム

2022.06.14

採用市況感レポート2021年4月(厚生労働省調査データから)

皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2022年4月分の一般職業紹介状況が2022年5月31日に、毎月勤労統計調査(速報)が2022年6月7日に公表されました。こちらに基づいて2022年4月分の採用市況感レポートをお届けします。

有効求人倍率、新規求人数及び新規求職申込件数の動き(2022年5月31日データ)

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

2022年4月の有効求人倍率は1.23と、前月から0.01ポイント増という結果となり、2022年の調査では3ヶ月連続での微増となりました。対前年同月時と比較すると0.14ポイントの差があり、特に昨年11月から順調に倍率が増加している傾向を見ると、新型コロナウィルス感染の影響から抜け出していることが見られます。

新規有効求人数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

企業が新たな人材を求めて採用をかける新規求人数推移(季節調整値)は、対先月比1.02%増(+21,103件)という結果となりました。市場が一旦落ち着く2月以降で順調な伸びを見せていますし、特に前年同月との比較では12.3%も増加と、業績回復に伴う新たな人材採用に動き出しているところが増えていることが見受けられます。

産業別の傾向を見ると宿泊業と飲食サービス業が49.6%増と最も高く、次いで製造業が21.9%増、サービス業(他に分類されないもの)が15.3%、運輸業と郵便業が13.1%という結果となっています。コロナ禍の自粛要請で大きなダメージを受けた宿泊業と飲食サービス業の脅威的な伸びが、全体の数値を押し上げているとも言っていいでしょう。

新規求職申込件数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

ハローワークへ新しい仕事を求めて求職登録した人数を示す、新規求職申込件数推移(季節調整値)を見ると対前月比1.01%増(+4,713件)となりました。新規求人数に対して新規求職者の数が微増という結果になったのは、すでに年度末に動いた求職活動が落ち着き、そもそも離職の少ない年度初めの特徴が現れた結果でしょう。

新規求人件数は継続的に大幅な増加傾向にあるのに対し、新規求職者数は微増または減少を繰り返している状況が続いています。その市場動向が有効求人倍率の連続しての微増という結果となっています。今後も新規求職者が大幅に増加することは考えにくく、対して新規求人件数の増加によって、さらなる人手不足感が進行していくことが想定されます。

毎月勤労統計調査速報2022年3月(2022年5月9日データ)

常用雇用及び労働異動率

(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)

毎月勤労統計速報の概況によりますと現金給与総額は283,475円で、前月から1.7%の増加となりました。そのうち一般労働者が365,411円(1.9%増)、パートタイム労働者が100,852円(1.0%増)でした。所定内給与については一般労働者が320,694円(1.2%増)で、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,226円(1.2%増)となっています。
共通事業所による現金給与総額は1.5%増で、そのうち一般労働者が1.5%増、パートタイム労働者が0.6%増加。これは所定外労働時間が10.7時間と対前月5.7%も拡大していることが大きな要因ではないかと考えられます。今後は急速な円安が進む経済動向や収まる気配のない物価上昇などを鑑みると決して楽観視できない状況で、将来に向けてのリスクヘッジも講じていく必要も出てくるでしょう。

労働異動においては前月同様、飲食サービス業の5.6%を筆頭に、医療・福祉が2.5%、建設業が1.7%の大幅な増加となりました。

欧米諸国同様に、日本経済もウィズコロナへの転換が鮮明になりました。それがコロナ禍で業績が落ち込んで採用に踏み切れなかった企業が、一気に採用再開に踏み切った大きな背景となっています。例年通りにいけば4月の数値は一旦落ち着くと考えられましたが、結果を見ると求人数の増加ペースは一向に落ちる気配が見られません。これから求人市場が動く時期を迎え、ますます売り手市場へと加速すれば、人手不足感に拍車がかかることは容易に想像できます。「求人を出せば応募か来るはず」という過去のイメージを払拭し、新たな戦略を構築した上で採用活動を行う必要があるでしょう。

■トピックス

採用市況感レポートでも解説したように、コロナ禍が落ち着いて経済回復を見せる日本では、多くの産業で人手不足感が急速に広まりつつあります。2022年5月に帝国データバンクの調査によりますと、この傾向が感覚的ではないことが明らかとなりました。

人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220509.html

調査結果によりますと、正社員での人手不足は45.9%とコロナ禍前の水準に戻りつつあります。特に情報サービス業では64.6%と、IT人材の不足感は深刻な状況となりつつあります。非正社員も27.3%という結果となり、特に飲食店や旅館・ホテルで顕著な人手不足感が表れています。

人手が足りないからといって、黙ってそのままでいるわけにもいかないのが現実。そこで今回は、採用人数を増やす手段として参考になるニュースを紹介します。

テレワークの浸透、障害者就労に追い風 通勤不要、地方OKでハードル下がる

https://kahoku.news/articles/20220521khn000043.html

コロナ禍によって浸透したテレワークですが、東北に住む障害者にとって就労機会の追い風となっていることを紹介しています。自宅で仕事がこなせるため通勤する必要がなく、希望と条件がマッチすれば、人手不足の解消にも効果を発揮するでしょう。

「お前の胸があと5センチ大きければ…」気心知れた同僚への”鉄板ネタ”がある日突然セクハラ認定されたワケ

https://president.jp/articles/-/57868

労働相談 正社員からの相談4割増加 内訳「パワハラ・嫌がらせ」最も多く

https://news.yahoo.co.jp/articles/4f138a9d63900434806af5cacc95e260b0621f2b

この2つの記事は採用活動ににおいて、企業側が十分中止しなければならないハラスメントについて紹介しています。ここ最近では口コミによる企業の就業環境を紹介するWebサービスも増えており、そこに掲載されている情報を参考にする求職者も増えています。
魅力ある仕事内容や条件を提示しても、職場環境などでマイナスが出てしまうのは採用活動の大きなリスクとなります。口コミサイトへの対策はもちろん、普段の就業環境にも十分注意を払いながら、求職者が働きたい社風や企業文化をアピールしていきたいところです。

■まとめ

人手不足が深刻化する中、定着率の改善同様に大事になってくるのが、採用活動にて求職者の職場や仕事に対する興味・関心の想起です。実は求人票や求人広告の表現次第で、魅力を最大化できるか半減させるかが決まってきます。一切の誇張を行わずに事実に即しての効果的な表現を行うには、ノウハウを知る専門家に相談することが一番です。天職市場では採用に関する課題に対し、ベストとなる提案を行います。お困りの際は、ぜひ一度ご相談を。

※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。