COLUMN 採用お役立ちコラム

2023.01.13

採用市況感レポート2022年11月(厚生労働省調査データから)

皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2022年11月分の一般職業紹介状況が2022年12月27日に、毎月勤労統計調査(速報)が2022年1月6日に公表されました。
こちらに基づいて2022年11月分の採用市況感レポートをお届けします。

■有効求人倍率、新規求人数及び新規求職申込件数の動き(2022年12月27日データ)

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

2022年11月の有効求人倍率は1.35と、前月の数値から増減なしという結果となりました。緊急事態宣言が明けたばかりの昨年同月期と比較すると、0.2ポイントの大幅増となっています。倍率だけを見ますと、2021年11月から右肩上がりで推移してきた有効求人倍率も、ここにきて小休止という状態にあるようにも見受けられます。

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

コロナ禍に陥る前の2018年7月からの有効求人倍率の動きを振り返りますと、2022年11月現在の1.35倍は最高値をつけた2018年9月の1.64倍と、最低値をつけた2020年9月の1.03倍のほぼ中間の数値となっています。グラフの推移を見ますとピーク時からおよそ1年半かけて緩やかに減少傾向にあったところに、新型コロナウィルスの感染拡大がいかに採用市場に大きな打撃を与えたか、急激な減少傾向がそれを物語っています。その後の数値上昇に長い月日がかかっていることを見ても、いかにダメージが大きかったかを知ることができます。
もっとも2022年に関しては新型コロナウィルス以外にも社会情勢の不安定さや円安など様々な要因が発生し、有効求人倍率の数値が上がったからといって市場自体が明るい方向に向いているとは言い切れない状況であることは、これまでのレポートでも繰り返しお伝えしてきました。では2022年11月においてはどのような状況にあるのか、この後に解説いたします。

新規求人数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

企業が新たな人材を求めて採用活動を行う新規求人数推移(季節調整値)は、パート求人を含む全体を見ると26,432件の増加となり、倍率にして2.42倍と前月を0.09ポイントも上回りました。正社員の有効求人倍率は1.04倍となり、前月より0.01ポイント上回っています。11月は多くの企業でボーナスが支給される12月の前月であり、人材も動きやすくなる年末年始を見据え、早いうちにいい人材を確保しようと企業の採用活動が活発になる時期。昨年同月期を見ても、グラフの上昇傾向はほとんど同じですので、例年通りの傾向と言ってもいいでしょう。
産業別の傾向を見ると、宿泊業と飲食サービス業が21.2%増と最も高く、次いで生活関連サービス業(他に分類されないもの)の13.2%増、卸売業、小売業の13.0%増と続きます。逆に教育、学習支援業が9.4%減という結果となっています。

新規求職申込件数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

ハローワークへ新しい仕事を求めて求職登録した人数を示す、新規求職申込件数推移(季節調整値)を見ると、11月は前月よりも4,247件の減少(1.3%減)となりました。11月に関してはすべての項目で前月より数値が下がっており、2022年においては2月に記録した370,371件に次ぐ低い件数となっています。ボーナス支給前であまり人が動かないようにも思えますが、前年同月期では391,895件を記録していることを鑑みると、市場に新規求職者が流入していない状況下にあることが伺えます。

有効求人倍率は横ばいという結果となりましたが、年末に向けて新規求人件数が大幅に増加しているのに対し、新規求職者数が減少傾向にあることがわかりました。明らかに求人件数が求職者の数を上回り、ますます売り手市場が加速している現状。その背景にあるのはコロナ禍の自粛要請によって大ダメージを受けた、観光業や飲食業などの業績回復に向けた積極的な採用活動が大きな要因として挙げられます。
その反面、新型コロナウィルスの脅威は一時期よりもだいぶ緩和されてはいるものの、中国でのパンデミックや国内での感染者数増加・第8波への警戒など、短期的な見通しが立てにくい状況が人の流動化を阻害しているのではないかとも考えられます。また、2022年のエネルギー高騰や急激な円安など、国際情勢の変化における様々なリスク要因も複雑に絡み合うことで将来への不安が増大し、ますます求職活動の硬直化を招いているとも想定できます。おそらく今後も売り手市場は継続し、人手不足感も加速していくことでしょう。

■毎月勤労統計調査速報2022年11月(2023年1月6日データ)

常用雇用及び労働異動率

(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)

毎月勤労統計速報の概況によりますと現金給与総額は283,895円で、前年同月より0.5%の増加となりました。そのうち一般労働者が368,358円(0.2%増)、パートタイム労働者が101,888円(2.2%増)。パートタイム労働者比率は、31.77%(0.04ポイント減)という結果となっています。所定内給与については一般労働者が319,915円(1.4%増)で、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,251円(2.5%増)となっています。
共通事業所による現金給与総額は1.0%増で、そのうち一般労働者が1.3%増、パートタイム労働者が1.1%に増加。所定外労働時間は10.5時間と前月より2.7%も拡大しています。
しかし、消費者物価指数の前年同月比の上昇率(※)は、前月3.7%から大幅増となる3.8%に。継続して伸びを見せている現金給与総額との乖離がますます広がり、実質賃金が大幅に低下するという深刻な状況となっています。

<参考>去年11月の実質賃金 前年同月比3.8%減 2014年以来の下げ幅(NHK NEWS WEB、2023年1月6日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230106/k10013942281000.html

実質賃金指数(対前年増減率)

厚生労働省が従業員5名以上の事業所3万余りを対象に調査する「毎月勤労統計調査」によりますと、物価の変動分を反映した2022年11月の実質賃金は、2021年同月と比べると3.8%の減少で実質賃金は物価の上昇を背景に8ヶ月連続でマイナスとなりました。今回の減少幅は2014年5月(4.1%減)以来の8年6ヶ月ぶりなのですが、当時は消費税率が5%から8%に引き上げられたことが大きな要因。今回のような消費増税を理由としない減少は、リーマンショックの影響が残る2009年12月(4.2%減)以来、12年11ヶ月ぶりとなります。

※消費者物価指数11月分(総務省統計局・2022年12月23日公表)

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html

労働異動においてはこれまで同様、飲食サービス業が8.3%増と大きな伸びを見せており、ついで不動産・物品賃貸業が2.8%増、医療・福祉が2.3%増と続きます。この3つの業界は対前年比でも大幅な増加を見せており、しばらくはこの傾向が続くと考えられます。逆に総合サービス事業が9.2%減という結果となっています。

■トピックス

今月のテーマは、先日発表された「令和4年上半期の雇用動向」の調査結果を取り上げます。

※令和3年の雇用動向調査については、「採用市況感レポート2022年7月」で解説しております。こちらもご参照ください。

https://www.1049.cc/column/20220915_5608/

○令和4年上半期雇用動向調査 2022年12月20日

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-1/index.html

入職率・離職率の推移(各年上半期)
入職超過率の推移(各年下半期)

2008年(平成20年)からの上半期における入職率と離職率をグラフにして表すと、新型コロナウィルスの感染拡大が始まった2020年(令和2年)で入職率・離職率どちらの数字も大きく減少していることがわかります。翌年の2021年(令和3年)では離職率の数字こそ落ち込んでいるものの、入職率はわずかながら改善の傾向にあり、2022年(令和4年)になると入職率・離職率ともに大幅に数字を上げています。
この傾向を入職超過率で見ますと2022年は0.6ポイントであり、人材の流動化がこの2年で大きくなっていますが、雇用状況は全体的に改善されていると考えられます。

産業別入職率・離職率(令和4年上半期)

2022年(令和4年)上半期における産業別の入職率および離職率を見ますと、宿泊業、飲食サービス業で入職率20.3%(対前年比8.3ポイント上昇)、離職率15.0%(対前年比0.6ポイント低下)。生活関連サービス業、娯楽業では入職率14.2%(対前年比7.1ポイント低下)、離職率10.0%(対前年比1.0ポイント低下)と入植超過という結果が出ています。特にコロナ禍で大きなダメージを受けた観光業や飲食業では、軒並み入職が改善されている結果となりました。

欠員率の推移(各年6月末日現在)

人手不足を数値で表す欠員率に関しては上昇傾向にあり、パートを含む全体の数値ではコロナ禍前の2019年(平成30年)とほぼ同等の数値となっています。

■まとめ

雇用自体は回復傾向にありつつも、人手不足も再び強く感じられる傾向にあることがデータ面でもハッキリしました。業界で見ると人手不足の著しい建設業や警備業、設備メンテナンス業、医療福祉業において求人案件が多く出されているという情報も寄せられています。
有効求人倍率でも売り手市場の加速化が見られますし、今後も年度末に向けた官公需要やコロナ対策での人員確保も大きな影響を与えるとの見方もありますし、3月1日から解禁される2024年の新卒採用を含め、採用市場は昨年以上に激化することが考えられます。
早いところはすでに対策を講じ、先手を打った採用活動をスタートさせています。しかし、新たな打ち手を考えたくてもなかなか難しいというところも多いと思います。そんな状況をできるだけ早く打開するためにも、まずは専門家である天職市場へ一度ご相談ください。一緒にこれからのことを考え、対策を講じていくプロが皆さんの成功を後押しいたします。

また、求人表現の見直しなど採用にかかわる様々なセミナーを開催していますので、ぜひ一度ご参加ください。

https://www.1049.cc/seminar/

※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。