COLUMN 採用お役立ちコラム

2023.04.24

採用市況感レポート2023年1月(厚生労働省調査データから)

皆さんこんにちは。株式会社天職市場アナリストチームです。
2023年1月分の一般職業紹介状況が2023年3月3日に、毎月勤労統計調査(速報)が2023年3月7日に公表されました。こちらに基づいて2023年1月分の採用市況感レポートをお届けします。

■有効求人倍率、新規求人数及び新規求職申込件数の動き(2023年3月3日データ)

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

2023年1月の有効求人倍率は1.35となり、先月の1.36(注・季節調整値の更新により、1.35から1.36に上方修正されています)から0.01の減少となりました。わずかな数値ではありますが暫くの間、増加傾向にあった中での減少にちょっとした疑問や何かしらの不安など、様々な思いを巡らせている方もいらっしゃると思います。

有効求人倍率(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

長期スパンで有効求人倍率の動きを見てみますと、1月期の推移は決して大きく伸びることはなく、2020年1月は減少していることがうかがえます。当時はまだコロナ禍の影響をお大きく受ける状況ではないことを鑑みると、時期的に何かしらの理由があるのではないかと考えられます。同時に2021年と2022年の同月が上向きになっているのは、コロナ禍から市況の回復過程にあることも十分考えられます。この後に触れる新規求人数および求職者数の推移を見ながら、求人市場の今について解説してまいります。

新規求人数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

企業が新たな人材を求めて採用活動を行う新規求人数推移(季節調整値)は、パート求人を含む全体を見ると14,803件の増加となりました。新規求人倍率は前月より0.01ポイント減の2.38倍と、前月と同じ水準となっています。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.03倍となり、こちらも前月を0.01ポイントの微減となっています。
産業別の傾向を見ると、宿泊業、飲食サービス業が27.0%増と最も高く、次いで運輸業、郵便業の4.0%増、卸売業、小売業の3.8%増と続きます。逆に情報通信業が7.3%減、製造業が4.0%減という結果となっています。

新規求職申込件数推移(季節調整値)

(厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)より)

ハローワークへ新しい仕事を求めて求職登録した人数を示す、新規求職申込件数推移(季節調整値)を見ると、2023年1月は前月よりも7,823件の増加となりました。これは例年、12月のボーナス支給後に離職するケースによるものと考えられ、前年同月期においても明らかに増加している様子がグラフ上でもわかります。また、1月から3月は年度が変わる直前ということもあり、特に選考期間を考慮した上で4月入社を想定した行動を起こしているのではないかとも考えられます。

2023年1月の有効求人倍率が減少に転じたことは、すでに様々なメディアでもニュースとして取り上げられているので、すでにご存じの方も多いと思われます。今回の内訳を見ると求職者数の増加によるもので、実際に求人件数は前月とほぼ同じであるものの、依然として緩やかではありますが右肩上がりの傾向にあると考えられます。そもそも売り手市場であることには変わりがありませんので、採用活動においては従来通りに戦略を構築した上で先手を打つ必要はあるでしょう。
なお、宿泊業、飲食サービス業の求人件数が再度伸びを見せていることに加え、運輸業の件数も増えているのは、インバウンド需要に加えて全国旅行支援の影響が大きいのではないかと考えられます。全国旅行支援は4月以降の延長も決定していますので、少なくとも今年中旬までは現在の状況が続いていくのではないかとも想定できます。

■毎月勤労統計調査速報2023年1月(2023年3月7日データ)

常用雇用及び労働異動率

(厚生労働省 毎月勤労統計調査より)

毎月勤労統計速報の概況によりますと現金給与総額は276,857円で、前年同月より0.8%の増加となりました。そのうち一般労働者が360,510円(1.3%増)、パートタイム労働者が98,144円(0.8%増)。パートタイム労働者比率は、31.86%(0.46ポイント増)という結果となっています。所定内給与については一般労働者が318,735円(1.3%増)で、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,280円(3.1%増)となっています。
共通事業所による現金給与総額は1.0%増で、そのうち一般労働者が1.1%増、パートタイム労働者が1.6%に増加。所定外労働時間は9.7時間と前月より1.1%も拡大しています。

以前から実質賃金の減少が様々な報道によって社会問題化していますが、2023年1月においても消費者物価指数が前年同月比で4.3%も上昇。2022年12月の4.0%を超える結果となっています。国内大手企業の賃上げがニュースで報じられ、春闘においてもベースアップの満額回答する企業が増加してはいるものの、中小企業では30%程度の企業が賃上げに対応できないという声も聞こえてきます。さらに雇用調整助成金やコロナ特融などの政府支援策の終了をキッカケに、倒産する企業も増える可能性も高まっています。おそらく2023年の4月から10月にかけて、より条件のいいところを求める転職者が増える兆しが見えてくるとも考えられます。

<参考資料)>

消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)1月分(2023年2月24日公表)

https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html

実質賃金4.1%減、1月で過去最大の下落 物価高響く

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA068TS0W3A300C2000000/

2月の「人手不足」倒産が急増、前年同期の2.6倍

https://jinzainews.net/26788643/

■トピックス

今月は転職における収入の増減、そして企業の採用活動を通じて国内経済の実態について触れている記事をふたつ紹介します。

転職後の年収が初の増加傾向に…なぜ?給料が増える人、増えない人の違い(nippon.com、2023年3月15日)

https://www.nippon.com/ja/news/fnn20230315498816/

年齢別_転職後決定年収の変化推移(エン・ジャパン調べ)

人材総合サービスの「エン・ジャパン」の自社サービスを利用した20〜50代を対象にした調査によると、これまで転職すると年収が下がることが一般的に捉えられていたところ、2022年は逆に収入アップを実現する転職者が増えているそうです。これは給与相場を企業側が意識するようになり、少しでも求職者へ待遇面の良さをアピールすることで応募数を増やし、結果的に転職後の年収が増加したとみられています。実質賃金の減少が転職者の収入増へのキッカケとなっていますが、必ずしも誰もが収入アップの恩恵を受けるわけではないことも記事では紹介しています。

令和4年度企業行動に関するアンケート調査報告書(内閣府、2023年3月1日)

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/ank/ank.html

今後3年間の雇用者数の増加/減少企業割合の推移(全産業)

業種別 今後3年間の雇用者数の増加企業割合(前年度調査との比較)

内閣府の企業調査に関するアンケート調査によりますと、2022年度の調査では今後3年間で雇用者数を増やすと回答した企業が73.6%にのぼりました。この数値は調査開始以来、過去最多となっています。産業別では倉庫・運輸関連業や金融業、建設業、情報・通信業における雇用の見込みが高いこともうかがえます。
なお、この調査は企業が今後の景気や業界需要の動向をどのように見通しているか、どのように行動しようとしているかなどについて継続的に調査を行うことで、企業活動の面から日本経済の実態を明らかにすることが目的。経営において雇用が大きなウエイトを占めるだけに、採用市場の動向を占う意味でも注目したい情報です。

■まとめ

いよいよ新型コロナウィルスが指定感染症5類への移行が目前に迫り、政府もマスクの着用義務の大幅緩和の方針を打ち出しました。すでに行動制限は事実上撤廃されている上、インバウンド需要の急速な再上昇、全国旅行支援の実施および期間延長によって、ますます人材を必要とする企業も増えていくことが見込まれています。2023年1月は有効求人倍率が微減となったものの、人手不足を感じている企業は一定数の水準を保っており、春以降に求人件数が増えることによって、より人材不足感が市場に蔓延することは容易に予想されます。
また、人を採用するだけではなく、人の離職を防ごうとする企業も増えています。企業規模によって取りうる施策に限界はありますが、だからといって指を咥えているのではなく、どうにかして今の自分たちに合った採用戦略を構築することが大事です。そこで専門家である天職市場が、最善となる答えを探った上でプランを提案します。一緒にこれからのことを考え、対策を講じていくプロが皆さんの成功を後押しいたします。

※採用市況感レポートは、統計数値をもとに分析した内容を月一回お届けします。