2024.04.03
チームビルディングとは?目的や具体的な方法や活用事例など紹介
企業として目標を達成するためには、個人の才能を結集し、チームとして高いパフォーマンスを発揮する必要があります。チームビルディングは、組織として高いパフォーマンスを発揮するための手法ですが、具体的にはどのように活用するのでしょうか?
この記事では、チームビルディングに関する目的やプロセスから、さらにその実践方法までを幅広く解説します。
チームとしての可能性を引き出し、最大限の成果を目指したい人向けに役立つ情報をお伝えします。
【目次】
・チームビルディングとは?
・チームビルディングの目的は?
・チームビルディングの5つのプロセス
・チームビルディングに最適なゲーム
・チームビルディングを行う上での注意点は?
・チームビルディングの成功事例
・まとめ
チームビルディングとは?
チームビルディングは、組織内の個人が持つ能力や個性を最大限に発揮できるよう環境を整え、チーム全体の目標を達成させるための手法です。
チームビルディングを体現することで、個人の成長やチームの生産性を向上させる効果を得ることができます。
チームの定義
チームとは、共通の目標や目的を持ち、その達成のために協力関係を築いているメンバーの集まりです。
チーム内では、各メンバーが自らの役割を認識し、多様な能力やスキルを活用しながら目標に向かって行動します。
一般的な集団と異なり、チームは共通の目標達成を最優先とすることで、高い生産性や成果を上げることができるのです。
チームワークとの違い
チームビルディングとチームワークは、優先されることに大きな違いがあります。
チームビルディングは、個々のメンバーの能力や特性を活かし、チームとしての成長を目指す長期的な取り組みです。特に個人の成長や人材育成に重きが置かれます。
一方、チームワークは、すでに定められた目標や課題をチームで効果的に達成するための協力や連携を重視する短期的な取り組みです。
チームワークでは、協力関係が最優先され、個々の成長よりも目標達成のための協力が中心となります。
チームビルディングの目的は?
チームビルディングは、社員間の親睦を深めることが目的ではありません。
実際には、チーム内コミュニケーションの向上、社内ビジョンの共有、最適な人材配置、生産性の向上、従業員モチベーションの向上、そしてリーダーの育成などの効果を発揮することを目的としています。
チーム内コミュニケーションの向上
チームビルディングは、チーム内コミュニケーションを大きく向上させてくれます。
異なる経歴や専門知識を持つメンバーが協力しながら共通の目標に向かっていくためには、お互いの理解が必要不可欠です。
チームビルディングを活用することで、普段の業務では見えにくいメンバーの個性や強みを発見したり、それを活かす方法を模索することができるようになります。
そうすることで、チーム間の壁がなくなり、スムーズなコミュニケーションが可能となります。
社内ビジョンの共有
企業が成長し続けるためには、従業員全員が共通のビジョンと目標を理解し、共有していることが重要です。
チームビルディングを通じて、企業の理念や目指す方向性、そして長期的な目標を従業員が理解することができます。
共有されたビジョンを自分事として捉えることで、主体性が発揮され、パフォーマンス向上につなげることができます。
最適な人材配置
チームビルディングは、メンバーの新たな能力や強み、意外な才能を発見することができます。
その結果から最適な人材配置を行うことができ、チーム全体のパフォーマンスの向上に繋げることが可能です。
また、メンバーの新たなキャリアの幅を広げることにも繋がり、従業員のモチベーションアップにも貢献することができます。
生産性の向上
チームビルディングによりチームワークが強化され、業務の効率化が向上します。
さらに、従業員間のコミュニケーションがスムーズになることで、作業の重複や無駄が減少し、より早く、より質の高い成果を発揮することが可能になります。
実際に、チームとしての総合力が向上しますので、結果として生産性の向上に大きく影響し、企業の業績向上に直結することになるでしょう。
従業員モチベーションの向上
従業員がチームとしての一体感や達成感を味わうことは、モチベーションアップにつながります。
チーム内での成功体験は次の課題に挑むための自信になり、助け合いやサポートの体験は職場における居心地の良さを生み出してくれるでしょう。
従業員が仕事に対してポジティブな姿勢を維持できると、離職率の低下にも影響し、長期的な企業の成長につながります。
リーダーの育成
チームビルディングでは、リーダーの発見や育成にもつながります。
難しい課題やプロジェクトに直面することで、チームメンバーの中から自然とリーダーが現れ、チームを引っ張るようになります。
そうすることで、意思決定やコミュニケーションスキル、問題解決能力など、リーダーとして必要な資質を鍛えることができます。
チームビルディングでの体験は、将来のリーダーにとって貴重な経験となり、組織内でのリーダーシップ力を強化してくれるでしょう。
チームビルディングの5つのプロセス
チームビルディングは、形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期という5つのプロセスがあります。
これらのプロセスを理解し、それぞれの段階で適切な対策を講じることで、チームを成功に導くことができます。
1. 形成期
形成期はチームが立ち上がった初期段階で、メンバー同士の理解が浅い状態です。
この期間は特に、メンバーが互いに顔を合わせ、コミュニケーションを取り始めることが重要です。
顔見知りの段階から、徐々にお互いの性格や能力を理解していく必要があります。
チームのリーダーはメンバー間の交流を促進したり、チームの目標を明確にすることで、チームの基盤を固める役割を果たします。
また、この時期にはお互い知らないメンバー同士を一つにまとめ上げるため、アイスブレイクやバースデー・ラインのようなゲームを活用することが効果的です。
2. 混乱期
混乱期に入ると、チームメンバーはお互いの考え方や価値観の違いを実感し始めるため、意見の衝突が生じやすくなります。
この時期に対立や摩擦が生じるのは自然な現象であり、チームビルディングにおいて重要な過程です。
リーダーは、こうした摩擦を恐れずに、前向きな議論を進めることが大切です。
意見の衝突を乗り越えた先には、より強固な信頼関係と理解が築かれます。
この段階になると、メンバーが互いの違いを受け入れ、共通の目標に向かって協力する関係が形成されます。
リーダーは、話し合いを通じてメンバー同士での認識のズレを解消し、チームとしての方向性を明確にする役割を担います。
3. 統一期
メンバー同士の理解と信頼関係が深まると、統一期に入ります。
この段階では、チーム全体としての一体感が生まれ、より協力的な関係を築けるようになります。
メンバーはお互いの強みを理解し、効率的な役割分担が可能となり、チームとしての成果を上げやすくなります。
リーダーは、各メンバーが自身の役割を最大限に果たせるように、サポートと方向性の確認を続ける必要があります。
この時期の課題は、統一された力で具体的な目標に向けて間違えずに動くことです。
チームのモチベーションを高め、期待に応える成果を生み出すための工夫が求められます。
4. 機能期
機能期に到達すると、チームは高いパフォーマンスを発揮します。
メンバーが自発的に行動し、お互いをサポートしながら、チームとしての目標達成に向けて効率良く作業を進めていきます。
この段階では、メンバー同士が自分の役割を理解し、積極的に他のメンバーと協力しながら、チームとして結果を残していきます。
リーダーの役割は、チームの動きを見守り、必要に応じてサポートすることです。
また、この時期はメンバー同士が適切なバランスで働けるよう、モチベーションの管理にも注意を払う必要があります。
5. 散会期
プロジェクトの終了など、チームとしての目標を達成した後は散会期を迎えます。
この時期は、チームメンバーが別のプロジェクトに参加するための準備期間となります。
リーダーは、チームとしての成果を振り返り、各メンバーの実績や頑張りを褒めることが大切です。
また、これからに向けてのアドバイスやフィードバックを行う機会でもあります。
チームビルディングに最適なゲーム
効果的なチームビルディングには、さまざまな方法があります。
チームビルディングの活動は、参加者の間での信頼関係の構築、協力する姿勢、そして相互理解を深めるために有効です。
次に紹介する方法を活用して、チームの一体感を高めましょう。
積み木自己紹介
積み木自己紹介は、名前を覚えることが主な目的のアイスブレイクゲームです。
参加者が一列に並び、隣の人の名前を含めて自己紹介をします。
「佐藤さんの隣の高木さん、その隣の山田さん、その隣の梅田さん、その隣の私は田中です」というような紹介です。
初対面で名前を覚える難しさをゲーム形式で楽しみながら、気楽な雰囲気で自己紹介をすることができます。
バースデー・ライン
バースデー・ラインは、言葉を使わずに誕生日の順に並ぶ、というシンプルながら楽しいゲームです。
このゲームでは、ジェスチャーを用いて他の参加者とコミュニケーションを取りながら、自分の誕生日がどの位置にあるかを考えて並びます。
全員が並んだ後、実際に誕生日を言って確認し合うことで、お互いについて知ることができます。
言葉を使わないため、非言語コミュニケーションの重要性も理解できるため、チームビルディングにはおすすめです。
2つの真実、1つの嘘
「2つの真実、1つの嘘」は、知的なアイスブレイクゲームです。
参加者は、自分に関する3つの事柄(うち2つは真実で1つは嘘)を他のメンバーに伝えます。
その後、他のメンバーはどれが嘘かを当てるゲームをします。
このゲームを通して、参加者はお互いの興味深い事実や個性を知ることができます。
また、うそのエピソードを考えることで創造力も鍛えられ、メンバー同士の楽しいやり取りを通じて、チームワークを育んでいきます。
ペーパータワー
ペーパータワーは、一枚のA4用紙だけを使用して、最も高く安定したタワーをチームで建てるゲームです。
この単純なルールの中にも、戦略立てやチームワーク、創造性が試されます。
どのように紙を折り、切り、積み上げるかによって、安定性や高さが変わってくるからです。
チームメンバーが互いのアイデアを出し合い、一つの目標に向かって協力する過程は、メンバー同士の結びつきを強化してくれます。
ドミノ倒し
ドミノ倒しは、チームビルディングの中でもシンプルなゲームです。
各チームに等分されたドミノを使用して、最も長く連続して倒れるドミノのラインを作ります。
計画段階から倒し方まで、チーム内での意思疎通と協力がカギを握ります。
ドミノの配置の仕方や過程がチームの特徴を表していて面白いです。
しっぽ取りゲーム
しっぽ取りゲームは、室内外問わず楽しめる動きのあるゲームです。
このゲームではチームに分かれて、自分の「しっぽ」を守りつつ、他のプレイヤーのしっぽを取ることを目指します。
連携や戦略が勝利に直結するため、チームプレイの重要性を体感できます。
鬼ごっこ
鬼ごっこは、古典的な追いかけっこゲームでありながら、チームビルディングにも適しています。
特に、手をつないで増えていく「手つなぎ鬼ごっこ」では、捕まるごとに連帯感が増し、チームの組織力アップの機会になります。
追いかける側も追われる側も、共に協力が求められ、楽しみながらもチーム意識を高めることができます。
ロゲイニングカード
ロゲイニングカードは、屋外で行われるチームビルディングゲームです。
街中を巡りながら、お題カードに書かれた写真を撮影して点数を競います。
このゲームは、チームメンバーのコミュニケーション能力、計画性、問題解決能力を高めるとともに、一緒に何かを成し遂げたという達成感を得ることができます。
また、歩きながらの会話が自然と生まれ、リラックスした雰囲気の中でメンバー同士の距離を縮めることができます。
チームビルディングを行う上での注意点は?
チームビルディングを行う際は、いくつかのポイントを理解し、適切に対処することが必要です。
ここでは、効果的なチームビルディングを行うために注意すべき4つのポイントを紹介します。
チームの目的・方向性を明確にする
チームビルディングの最初のステップとして、チームの目的や方向性、ビジョンを明確にすることが重要です。
まずは、リーダーがチームの目標を設定し、達成すべき目的や方向性をメンバーに伝えます。
明確な目標があることで、メンバーはモチベーションを保ち、何をするべきか?どのように活動すればよいか?を理解することができます。
時には視覚的な資料を活用することで、メンバーはより具体的なイメージを持ちやすく、目指すべき方向が明確になるでしょう。
チームの目標を共有し、定期的にその進捗を確認することで、チーム全体の成果に繋がります。
メンバーに丸投げしない
業務を円滑に進めるためには、リーダーが明確な指示を出し、メンバーに適切な説明をすることが重要です。
逆に業務の丸投げは、メンバーの自主性や自発性を奪い、モチベーションの低下を招く場合があります。
リーダーシップとは、メンバーに適切な範囲を示しながらも、必要なサポートを提供することです。
その上で、業務の目的や意義を明確にし、メンバーが自身で考え、行動できるように指導する必要があります。
チームメンバーの成果や頑張りを尊重し、定期的なフィードバックを通じて進捗を共有し、目標達成に向けての調整をしていくことが大切です。
メンバーの役割を理解させる
各メンバーの役割を明確にすることで、チームの一体感を高め、効率的な運営を行うことができます。
チームリーダーは、メンバーの能力や適性を考慮して、それぞれに適した役割を割り当てる必要があります。
適切な人材配置をすることで、メンバーは自分の役割を明確に理解し、チームにおける自身の価値と責任を認識することができます。
役割が明確になると、メンバーは自主性を持って行動しやすくなり、チーム全体が積極的に活動します。
雇用形態で差をつけない
チームビルディングにおいて、全てのメンバーが対等な関係性を持つという認識が重要です。
正社員、契約社員、パートタイムといった異なる雇用形態にとらわれず、各メンバーの意見や考えを公平に評価することが求められます。
多様性を受け入れ、それぞれの強みを活かす姿勢が、チームのイノベーションと創造性を促進してくれます。
そのために、リーダーは異なる経歴や経験を持つメンバー間でのコミュニケーションの場を積極的に作り、メンバー間の理解と協力の関係性を築く必要があります。
チームビルディングの成功事例
楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社では、外国人社員のチームビルディングの一環として、みんなでちらし寿司を作るイベントを実施したそうです。
この取り組みは、キャプラン株式会社とABCクッキング・スタジオの協力のもと開発されました。
通常、料理を通じたチームビルディングではピザ作りが主流ですが、外国人社員を含む多国籍チームの特性に合わせ、日本の伝統的な食文化であるちらし寿司を選んだのが特徴です。
この活動を通じて、参加者は料理を作る楽しさはもちろん、様々な国の文化やアイデアを共有し、相互理解を深めることができました。
このように、料理を通した活動は、自然とコミュニケーションが促進され、チームワークを高める上で有効な方法と言えるでしょう。
株式会社ぐるなび
株式会社ぐるなびでは、社長と社員が共に散歩をしながら行う「ウォーキング・ミーティング」を導入しています。
平地での会話に比べ、非公式かつリラックスした状態で意見交換ができるため、社長と社員間の垣根を低くし、よりオープンなコミュニケーションが可能になります。
また、散歩中のリフレッシュ効果や新たなアイデアが浮かびやすい環境も、この方法の魅力の一つです。
スティーブ・ジョブズやニーチェなど、偉人たちも散歩をアイデア発想の手段として活用していたことからも、その効果は明らかです。
散歩による気分転換が、組織内の新しいコミュニケーションの形やアイデアを生み出すことが期待されます。
株式会社オリエンタルランド
株式会社オリエンタルランドでは、チームビルディングとしてカヌーレースを年に1度行っているようです。
このイベントは、東京ディズニーリゾート内で開催され、数千人もの社員が参加する大規模なものです。
社員たちはカヌーを漕ぎながら、部署を超えたコミュニケーションを図り、組織全体の一体感を高めています。
このカヌーレースを通じて、通常業務では接点の少ない異なる職種の社員同士が交流を深め、チームワークや組織内の連携強化につながります。
スポーツを通じたこのような活動は、社員のモチベーション向上にも貢献されています。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、レゴブロックを使用したユニークなチームビルディング活動を実施しています。
これは、参加者が自由にレゴでタワーを作り、その過程や成果を通じて他のメンバーとコミュニケーションを図ることを目的としています。
レゴのタワー作りは、普段の業務では見えにくい社員の特性や考え方を明らかにすることができ、チーム内の理解を深める効果があります。
株式会社日清食品ホールディングス
株式会社日清食品ホールディングスでは、新任管理職向けに無人島研修を採用しています。
この研修は、参加者が最低限の物資と共に無人島で2泊3日を過ごすという過酷なものです。
サバイバル環境下でのチームワークやリーダーシップの発揮は、参加者に自己の限界を超えさせ、未知の状況における柔軟な対応力や協力の重要性を学ぶことができます。
まとめ
チームビルディングは、組織の力を最大限引き出し、メンバーそれぞれが持つ潜在能力を発揮させるための重要な取り組みです。
チームビルディングを上手く活用できれば、チームとしてのパフォーマンス向上はもちろん、若手の才能育成や新しいリーダーの発掘という長期的な効果も期待できるでしょう。