COLUMN 採用お役立ちコラム

2025.08.01

Q&A

「カスハラ防止が企業の義務になると聞きました」採用Q&Aシリーズ

人材採用を担当するときに感じるちょっとした疑問。誰かにちょっとだけ聞きたい質問に一問一答でお答えしていくのが【採用Q&A】シリーズです。
今回のご質問は「カスハラ防止が企業の義務になると聞きました」です。

Q:カスハラ防止が企業の義務になると聞きました

A:2026年4月から、カスハラ防止措置が法律で義務化されます。
2025年3月に成立した「改正労働施策総合推進法」により、いわゆる「カスハラ防止法」が2026年4月から施行される予定です。これにより、企業にはカスタマーハラスメント(顧客や取引先からの著しい迷惑行為)への防止措置が義務付けられます。

カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)は、近年、接客業やサービス業を中心に深刻な職場課題として注目を集めています。従業員が不当なクレームや暴言にさらされることで、精神的負担が大きくなり、離職に至るケースも少なくありません。

特に接客や対人業務に従事するスタッフの多くは、慢性的な人手不足の現場で働いています。せっかく採用した人材が、過度なクレームや心ない言動によって早期離職してしまえば、採用コストが無駄になるばかりか、残された従業員の負担も増え、さらなる離職を招きかねません。

このような背景から、企業がカスハラを「防ぐ」「対処する」「予防する」ための取り組みを行うことは、職場環境の改善だけでなく、人材確保・定着にも直結します。

では、企業は具体的にどのような取り組みをすればよいのでしょうか。厚生労働省が公表している指針や今後の法施行に向けた動きから、以下のような施策が求められています。

■カスハラ対策のポイント
・カスハラの定義を就業規則などに明文化し、従業員に共有する
・顧客対応の指針やマニュアルを整備する
・問題が発生した場合のエスカレーションルート(上司・本社など)を明示する
・社員向け研修で、適切な対応法を周知する
・実際にあった被害事例を収集し、社内で共有する
・対応記録を残し、再発防止の体制を整備する

こうした防止策の導入は、社員の安心感を生み、職場のメンタルヘルスにも大きな影響を与えます。さらに、採用活動においても「カスハラ対策を実施している職場です」と明確に伝えることは、求職者にとって安心材料となり、応募意欲の向上につながります。

近年の求職者、とくにZ世代以降は「働きやすさ」「人間関係の良さ」「メンタルケアの充実」などを重視する傾向にあります。企業側がカスハラに対する姿勢を明確に打ち出すことで、共感を呼びやすく、他社との差別化にもつながるでしょう。

今後、法施行に向けて業界団体や監督機関からもさらに具体的なガイドラインが発信されていくと予想されます。対応が遅れれば、コンプライアンス上のリスクにとどまらず、採用活動や定着率にも悪影響を与えかねません。

「うちは顧客第一だから」「クレーム対応も仕事のうち」という古い認識は、これからの時代には通用しません。企業が従業員を守る姿勢を持ち、仕組みとして整えることが、採用成功の第一歩となるのです。

天職市場は、自社採用サイト・求人メディアを長期的に活用し採用活動の効果を高める様々な施策をご提案できます。自社採用サイトや求人の運用についてお困りの際はぜひ天職市場までお問い合わせください。