COLUMN 採用お役立ちコラム

2025.08.28

【採用担当者向け】早期離職はなぜ起こる?Z世代の価値観から、その理由と定着率を高める対策を紹介

「毎年、一定数の割合で、早期離職している」「若手社員の離職が続き、採用コストも現場の負担も増えている」
多くの企業で、新卒・中途関わらず社員の「早期離職」が問題となっています。事実、この10年あまりで、早期離職者の平均在籍期間は約14ヶ月から約8ヶ月へと大幅に短縮したという推計もあります。
この記事では、「最近の若者は忍耐力がない」という単純な着地ではなく、その背景にある構造的な原因とSNS普及によって変化するZ世代の価値観を踏まえて、企業が取り組むべき、定着率を高めるための対策を紹介します。

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そもそも「早期離職」とは?

一般的に、新規学卒者が入社後3年以内に離職することを指す言葉として使われることが多いですが、明確な定義はありません。近年では、その期間はさらに短縮傾向にあり、入社後1年未満、あるいは1~3ヶ月ほどで退職代行サービスを利用して離職するケースも近年話題となっています。

単に「若い社員が辞める」だけではなく、企業が時間とコストをかけて採用・育成した人材が、本格的に活躍する前に組織を去ってしまうことは、重要な経営問題として捉える必要があります。

「1人の早期離職」が会社に与える影響

まず、早期離職を「よくあること」「毎年一定数いるもの」として軽視する前に、一人の若手社員が辞めることが、どれほどの損害を企業に与えるかを見ていきましょう。

1. 採用・教育コストの直接的な損失
一人の社員を採用し、育成するまでには、多大な工数とコストがかかっています。早期離職が発生すると、これらが全て無駄になってしまいます。

● 採用コスト: 求人広告費、人材紹介手数料、採用担当者の人件費など

● 教育コスト: 入社後の研修費用、マニュアル作成費、教育担当者の人件費など

● その他: 社会保険料の手続き費用、PCなどの備品購入費

これらを合算すると、一人あたり数百万円の損失になるとも言われています。

2. 現場の疲弊と生産性の低下
ダメージは金銭面だけではありません。離職者が出た部署では、残された社員がその業務をカバーする必要があり、一人ひとりの業務負荷が増大します。教育にかけた時間も無駄になり、チーム全体の計画も狂ってしまいます。この状態が続けば、現場は疲弊し、生産性も低下。最悪の場合、さらなる離職を招く負のスパイラルに陥ります。

3. 組織全体の士気低下とエンゲージメントの悪化
若手社員の離職が続くと、「この会社には何か問題があるのでは?」「自分も長くはいない方がいいのかもしれない」といった不安が、既存社員の間に静かに広がります。会社への信頼が揺らぎ、組織全体の士気やエンゲージメント(仕事への熱意)が悪化することは、数字には見えないながらも、最も深刻なダメージと言えるかもしれません。

早期離職の根本原因は「採用ミスマッチ」にあり

では、なぜ若手社員は早期に会社を去る決断を下すのでしょうか。その原因は個人の資質以上に、企業と個人の間の「採用ミスマッチ」に起因しています。

1. 最大の引き金は「入社前後のギャップ(リアリティショック)」

早期離職の最大のトリガーは、「聞いていた話と違う」という入社後のギャップです。ある調査では、新入社員の約8割がギャップを感じ、そのうち6割以上が、そのギャップをきっかけに離職しています。特に問題となるのは、求人広告のスペックだけでは分からない「職場の雰囲気」「人間関係」「実際の業務内容」といった情報です。

2. Z世代の価値観の変化が「ミスマッチの定義」を変えた

Z世代の離職理由を深く探ると、彼らが持つ特有の価値観が大きく影響しています。企業側がこの価値観を理解しない限り、ミスマッチは起こり続けます。

● 仕事の「意味」や「目的」への強い関心(パーパス志向)
Z世代は、自分の仕事が会社の理念や社会にどう繋がっているのか、その「意味」や「貢献実感」を強く求めます。給与のためだけでなく、「何のために働くのか」という目的意識が満たされないと、やりがいを見失いやすくなります。

● 「個人」として尊重されるフラットな関係性
厳格な上下関係よりも、役職に関わらず意見を言える「心理的安全性」や、オープンなコミュニケーションを重視します。個として尊重され、対話を通じて成長できる環境を求めます。

● ウェルビーイングと柔軟な働き方
仕事とプライベートを両立させる「ワークライフバランス」に加え、心身ともに健康で、人生全体が充実している状態「ウェルビーイング」を大切にします。柔軟な働き方は、そのための重要な要素と捉えています。

● SNSの普及で「隣の芝生」が常に見える
彼らはSNSを通じて、他社の進んだカルチャーや楽しそうな職場環境をリアルタイムで目にしています。そのため、自社が旧来の価値観のままだと、「隣の芝生は青い」と感じ、より良い環境を求めて転職を決断するハードルが低くなっています。

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早期離職を防ぎ、定着率を高めるための企業側の対策

この現状を踏まえ、企業が取るべき対策は、辞めそうな社員を引き留めることではなく、そもそもミスマッチが起きない採用と、入社後のギャップを生まない受け入れ体制を構築することです。

1.【採用段階】「正直な情報発信」でリアリティショックを防ぐ
ミスマッチを防ぐ最大の対策は、採用段階での情報開示です。Z世代が重視する「仕事の意味」や「社風」「働きがい」について、良い面も厳しい面も含めた「ありのままの姿」を伝えることが、入社後のギャップをなくします。

● 採用ブランディング: まず自社が「どんな会社」で「誰に来てほしいか」を定義する。

● 採用サイト/SNS: 上記のブランディングに基づき、社員インタビューや日常風景を通じて、リアルな情報を発信する。

2.【選考段階】「対話」を通じて相互理解を深める
選考プロセスを、一方的に評価する場から、候補者と企業が相互に理解を深める「対話」の場へと変革させましょう。候補者の価値観に深く耳を傾けると共に、配属予定先のマネージャーや現場社員と話す機会を設けることで、入社後の人間関係や業務内容に対する解像度を高めます。

3.【入社直後】「受け入れ現場」主導の丁寧なオンボーディング
離職の根本原因は、採用プロセスそのものよりも、入社後に配属された「受け入れ現場」でのギャップにあることが大半です。人事部任せにせず、現場のマネージャーや先輩社員が責任を持って新入社員を迎え入れ、業務の指導だけでなく、精神的なサポートを行う体制を構築することが不可欠です。

4.【定着支援】定期的な面談とキャリア支援で孤立させない
調査によれば、離職防止に本当に効果的な施策は、給与アップのような条件面よりも、コミュニケーションに関連するものです。Z世代が求める「対話」や「成長実感」に応える、以下の取り組みが有効です。

● 定期的な1on1面談で、不安や悩みを早期にキャッチする。

● キャリア相談の機会を設け、中長期的な成長を支援する姿勢を見せる。

● マネージャー向けの育成研修を行い、部下との関わり方を学ぶ。

このような地道な対話とケアの積み重ねが、若手社員のエンゲージメントと定着に繋がります。

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